今月の一本 Ultraman -TOWARDS THE FUTURE-
ultraman -towards the future-
SNES
メーカー バンダイ
ジャンル 格闘アクション
発売日 1991年10月(北米)
1Pプレイ専用
スーファミキャラゲー史に残る傑作ウルトラマンとウルトラセブンを繋ぐミッシングリンク!唸れ最強必殺拳ジャンプキック!
スーファミ世代なら一度はプレイしたことがあるであろう、ゲームセンターCXでも挑戦に採用されたキャラゲーの傑作ウルトラマンとウルトラセブン。その発売の合間に海外限定で人知れず発売されていた海外版のマイナーチェンジソフト。
皆さんはゲーム化されたウルトラマンG(グレート)をご存知だろうか?
30年前、私がリアルタイムで触れた円谷作品である。ウルトラマンやウルトラセブンは夏休みになると再放送で毎日やっていたのだが、この作品はたしか当時BSか何かでやっていた気がする。そう、オーストリアで撮影をした海外向け作品なのだ。明らかに異質。着ぐるみは従来のウェットスーツ製ではなく繊維質のタイツのようなもの(マスクだけは開米プロが手がけるFRP製)。しかし怪獣の誕生経緯等は地球の環境破壊を原因としていたり、怪獣の名前に仏教の要素を取り入れるなど、従来作品同様に、上原正三的な社会風刺な言霊を備えた作品であった。
おそらく日本人には馴染みの薄い光の国の戦士である(ウルトラ銀河伝説には一応エキストラ出演はしている)。
リアルタイム作品といえど、営利主義のバンダイが今作を日本で発売するわけがないのだ。
ゲーム内容は前作ウルトラマンを踏襲。各ステージごとに怪獣とのタイマンを制しスコアを稼いで残機を増やしながらエンディングを目指す格ゲーである。地球での活動限界である3分以内に怪獣の体力をゼロにすると"FINISH"と表示されるので、必殺技を選択しとどめを刺すというフィニッシュ指定という独特なシステムを採用し原作に準拠している点はシリーズを通してキャラゲーとして好感の持てるつくりになっている。
登場怪獣はもちろん作品本編に忠実であり、マニアでない限りは知るはずのない独特な造形の怪獣たちがプレイヤーを迎え撃つ。
しかしこの海外向けにデザインされた怪獣達がまたカッコいいのだ。フィギュアにしたら絶対カッコいいソリッドな造型で非常に洋ゲー映えしている。ラスボス・シラリーとの最終決戦感はマニア感涙レベルと言っていいだろう。
その点でグラフィックは前作ウルトラマンと次作ウルトラセブンより描き込みが細かいといえる。
なお、歴代作品で採用されている防衛チームの戦闘機を操作するボーナスステージも怪獣を操作できる2P対戦モードも残念ながらオミットされている(今作の兵器群はカッコいいものが多いので勿体無い点ではある)。また、ストーリーデモもない(コレが作品への没入感を高めているというのに)。
フィニッシュ時の怪獣爆散シーンはシリーズ屈指の力の入れようではある。
攻略のコツ
シリーズ共通のコツと言えるであろうジャンプキックをいかにマスターするかの一点に限るだろう。ハッキリ言って最悪とも言える操作性を受け入れ、ジャンプキックの当て勘と着地点の塩梅を身につければどんな凶悪怪獣ですらぶちスライムレベルのザコと化すだろう。接近戦はシリーズを通して怪獣側が圧倒的に主導権を握ってくるので、このジャンプキックをマスターすることはクリアにあたって必須と言っていいだろう。有野課長も言ってる。
ココがオススメ!
バンダイのキャラゲーである。ハッキリ言ってシリーズを通してゲームとしての深みは皆無である。次世代機の傑作、ファイティングエボリューションシリーズのような練習のし甲斐もない。操作性は極めてクソである。
しかしキャラゲーとしては、コレクターズアイテムとしてはきわめて秀でていると言えるだろう。憧れのヒーローを操作して怪獣たちをやっつける。それだけで十分なのだ。キャラゲーに多くを求めてはいけない。それは万国共通だということを本作は教えてくれる。
怪獣をぶん殴って(正しくはジャンプキックしまくって)、必殺技でトドメを刺して飛んで宇宙に帰る。それがウルトラマンに求められる地球における「仕事」なのだ。お店で見かけたら、お財布に余裕があったら、幼少期にライダーではなくウルトラマンを見て育ったのなら手に取るべき作品というレベルの認識でいいだろう。
発売当時の評価
発売当時のデータは見当たらなかったが、ゲームサイト“GAME FAQs"のレビューでは、タイトルを皮肉って"towards the Garbage can"(ゴミ箱直行の意)との大変厳しい評価を下している。なお、前作ウルトラマンはファミ通において30/40点でシルバー殿堂入りとキャラゲーとしては一定の評価を得ており、そもそもの国におけるウルトラシリーズの作品としての評価を反映していると言える(巨大化ヒーローは北米においてウケは良くないというのは業界の常識である)。
編集部購入価格
5,800円(CIB)
入手難易度
中
0コメント